国立精神・神経医療研究センター研究員の小塩靖崇さんは19~20年、日本ラグビー選手会の協力の元、トップリーグの選手を対象にメンタル調査を実施。そして、251人のうち10人に1人が「うつ・不安障害」または「重度のうつ・不安障害」が疑われる状態を経験、自死を考えた選手も13人に1人の割合、つまり、日本はアスリートが弱さを認めるべきではないという風潮が強いが、一般人と同様に心の問題を経験している可能性がある、という研究結果が出たそうです。
プロ野球・オリックスの野手総合兼打撃コーチ、小谷野栄一さんの話は、本を購入させて頂き読んだことがあります。
小谷野栄一さんは、幼少期から完璧主義で失敗を恐れる性格であった方らしいです。
2003年、ドラフト5位で日本ハムに入団。自らをギリギリまで追い込んだ。その成果は表れ、05年から一軍での出場機会が増える。
だが、06年になると、何をするにも億劫になり、体も思うように動かない。成績を残せず、二軍に落ちた。そして、二席中に嘔吐。その後も、守備中に倒れるなど状態は悪化した。しかし、原因はわからなかった。
チームドクターの助言で心療内科を受診し、告げられた病名は、恐怖や不安に突然襲われ、めまいや呼吸困難に陥る「パニック障害」とのこと。
現在ほどパニック障害の認知度が高くなく、「弱いな」と心ない言葉を投げかける人もいたらしいです。
症状は改善されなかったが、「何回、吐いたっていい、いくらでも待つ、まずは打席に立つところから始めてみないか。」、当時の二軍コーチでオリックスのゼネラルマネジャー福良淳一の言葉に救われたということでした。
そして、少しずつ前向きな心を取り戻していき、07年も不眠や嘔吐は続いたが、一軍に定着、18年まで現役を続け、打点王に1度、ゴールデン・グラブ賞に3度輝いた。
パニック障害になりやすい人は、神経質で繊細、完璧主義、もともと不安や恐怖心が強い人、自分よりも他人を重視するやさしい人、等の性格や思考の方が多いようです。
パニック障害の治療には、認知行動療法と薬物療法があるということです。
今回ご紹介したいのは、認知行動療法です。
下記に、簡単ではありますが、代表的な例を記載致しました。
①自分の苦手な場面・場所、そこでとっさに浮かんだ考えを思い出して、原因を探る。思い込み(身体感覚への誤解)を起こして、パニック症が悪化することを理解する。
②安全行動とは、不安な気持ちになったときに、その不安を避けようとしてついしてしまう行動のことですが、例えば、心臓がドキドキしていると感じたときに、つい胸に手を当て動きを止めてしまうのが安全行動。安全行動ばかりしていると、身体感覚が過敏になり、恐怖も大きくなってしまう。ゆっくり時間をかけて、安全行動を行わないようにする。
③避けていた恐怖や不安に、敢えて、接することで、不安と身体感覚に慣れていくようにする方法で、「曝露(ばくろ)療法」という。
④とにかく深呼吸をする。